2013/10/25

香水専門店だから考える、「有料広告ってなんだろ・・・」

(店長)
有料の情報誌からフリーペーパーまで、自営業者ならば誰でも一度はお世話になったことがある「有料広告」。
でもその効果をきちんと実感できない人も多いのではないでしょうか。
食料品や日用品など、いわゆる生活必需品や、定期的に施さなければならないケアサービス(美容院など)や、外食好きな現代人に欠かせない外食産業などは、同業他社との競争が激しく、いかにタイムリーに広告を出すかどうかで店の売上が増減するという話はよく理解できます。
でも当店ではどうかというと、必ずしも広告の必要性を感じないのが正直なところ。

香水は化粧品の分類に入るとはいうものの、実態は嗜好品に近いのが日本の実情。
私がよく例えるのは、コーヒー豆。
毎日飲む人でも、インスタントコーヒーで充分という人から、できるだけ最近焙煎された新鮮な豆をひいたものでないとダメという人まで様々。
自家焙煎コーヒーは、いわば「コーヒー通」が好む嗜好品です。

香水も同じようなことが言えるのではないかと考えています。
メイク関係の化粧品は女性とっては「生活必需品」ですが、さて香水はどうかというと、日本、とりわけ秋田ではほとんどの人が「毎日使わないけど、何かのときに使う」程度のもので、これは日用品や化粧品というよりも嗜好品に近い。
嗜好品は、安くすればたくさん売れるわけでなく、期限付きクーポンもほとんど利用されません。
「安いから」や「今買うと得だから」買うのではなく、「今欲しいから買う」のが嗜好品。
金額よりも、そこに行けば「専門家が対応してくれて、お気に入りの商品が買える」から買うのです。

さてそこで「広告」の意義ですが、香水の場合は商品そのもののアピールではなく、あくまでも「自分の店を知ってもらう」ための告知として使うのが理想的。
例えて言うなら、遠くの人まで見える大きな看板代わりに広告を使うのです。
いわゆる記憶への刷り込みとして、定期的に広告を出すのがいいと、以前経営コンサルタントの先生にもアドバイスを受けました。

しかしここでまた新たな疑問が。
嗜好品の場合は、欲しくなったときに売っている店を探すことが多いもの。
日用品ならチラシを見て、いつが安いかを記憶して忘れないようにしますが、嗜好品の場合はチラシを見ても店の名前はなかなか記憶されません。
運良く店名を記憶してもらえたとしても、その場所までは覚えてくれない。
そこでいざ買いに行こうというときに、まずインターネットで検索するのが今のやりかた。
パソコンがなくても、スマホがあればいつでもどこでも検索でき、地図だって開けます。

ちなみに、Googleで「秋田 香水」とキーワード検索すると、
検索結果の一番最初に「秋田の香水専門店パレアンヌ」が表示されます。

商品をたくさん買ってもらうためでも、店の名前を覚えてもらうためでも、利用価値を見出せない「有料広告」。
一方、思いついたときにすぐに見つけることができるホームページ。
この二つを比較すると、当店の場合は後者への投資が断然優先となります。
むしろホームページを持たない専門店は、専門店とは呼べないのではないかとも思います。

正直なところ、こんな難しい理屈を考えるのは、有料広告の値段が高すぎるせい。
1枠2万円や3万円なんて、とても払えません(その10分の1が限界、つまり出せるのは新聞代までです)。
だって、そのお金、全部自分のポケットマネー、つまり「生活費」から出すんですよ、個人事業主は。
さらに自宅店舗を所有しているのではなく、当店のように賃貸テナント借りて毎月十万円前後を支出している個人事業主の経済観念は非常に厳しいものです。

特に自分は関西出身者ですから、お金にはシビアです。

法人は別ですよ、社員が給料から出すのではなく、会社の経費で出すのですから。
なのに広告費は個人事業主、法人の区別なく、1枠いくらで来ますから検討すらできないのです。

「個人事業主」とは「個人の資産を使って、自らの意思で事業を行う者」なのです。
ちなみに取引先を接待飲食しても、自分が飲食した分は経費にできません。
ちなみに遠方に出張して食事しても、自分で食べたものは経費にできません。
だから法人の社員とは経費の考え方が、いろいろとまったく違います。

今まで集客にはっきりと効果があったのは、きちんとしたホームページ、定期的に開催する自主イベント、民間の業界団体イベントなどへ出店参加、メディアへの取材協力、そして外部講座や講演。
残念ながら、情報誌やフリーペーパーに広告出しても、ご来店者の誰もそのことを知らない、というのが過去の実情でした。
広告費用はこうしたものへの投資に回すのが、当店の場合は最も効果的なんです。