2013/06/17

柑橘系の香りを空間に流すために

(店長)
ここ数日、当店代表の中田邦子先生が、空間に流す香りとして「柑橘系」の香りを製作中。
香水のトップノートによく柑橘系の香料が含まれていますが、なぜトップノートに多いのかというと、柑橘系の香りは持続性に問題があるからです。
最初の立ち上がりには強く感じられても、短時間で消えてしまう香り。
だからトップノートからラストノートまで、柑橘系が長時間持続する香水はありません。

今製作している柑橘系の香りも、そういう特徴からとても苦労して調合に取り組んでいました。
以前、エッセンシャルオイル(天然100%香料)のグレープフルーツを、ディフューザで使ってみたことがありますが、香ったのはほんの数分。
まだ液体はたくさん残っているのに、水蒸気が出てくるばかりでグレープフルーツの香りはまったくしなくなりました。
短時間であればいいのですが、超音波噴霧器でお部屋に数時間香りを流す場合には、柑橘系のエッセンシャルオイルは避けたほうがいいかもしれません。

ではどうすれば柑橘系の香りを、長時間漂わせることができるのか。
それは当店の調香技術の秘密事項です(トップシークレット!)。
もちろん柑橘系の香料だけを単体で使っても実現できません。
様々な香料を混ぜ合わせ、全体的に柑橘系を感じさせる香りを作るのです。

調香の世界は奥深いものですが、調香を面白くさせているのが合成香料が持つ素晴らしい特性。
天然香料だけでは、正直なところいい香りはできません。

パレアンヌの香り教室に来れば、香水原料の香りの幅広さ、奥深さがご理解いただけると思います。
ぜひ一日体験だけでもしてみてはいかがでしょう。

話がそれましたが、冒頭の柑橘系の香り、ようやく完成の目処がついたようです。
先生曰く、「こうして香りの特徴や流す空間の広さなどを考えながら調香している時間が一番楽しい!」。